爆裂BOX

ザ・トレインの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ザ・トレイン(1989年製作の映画)
3.4
ユーゴスラビアに留学中のアメリカ学生達は、とある村で得体のしれない儀式に巻き込まれ逃走する。しかし、乗り込んだ機関車で彼らは次々と惨殺されていく…というストーリー。
イタリア・ユーゴスラビア合作のオカルト・パニック映画です。原題が「BEYOND THE DOOR III」と「デアボリカ」の続編の様になってますが、「デアボリカ」と「ザ・ショック」そして本作をアメリカを始めとした一部地域でシリーズとして売り出されたようですが、物語上の繋がりは当然ながら一切ありません。
アメリカから来た留学生の男女7人が現地の教授アンドロモレクの案内で古代宗教の受難劇が見られるという村に行くも、そこは悪魔崇拝者の村であり、一行の中で浮いた存在の処女のビバリーを悪魔の花嫁にしようと企んでおり、学生達は小屋に閉じ込められて焼かれそうになって脱出し、通りがかった機関車に助けを求めて乗るも、その機関車も呪いをかけられ暴走を開始。学生達は車内で次々殺されていく、という内容です。
オカルトホラーと鉄道パニックを合わせたサービス満点な内容ですが、一行が訪れる村の顔色の悪い爺さん婆さんがお出迎えする如何にも怪しげな雰囲気や、ただようゴシックで禍々しい雰囲気はオカルトホラーとしては上々ではないでしょうか。
機関車に乗ってからスーパーナチュラルなディザスター映画となっていく所も面白いですね。駅に泊まらず暴走続ける機関車を止める為に鉄道当局もレール切り替えたり、線路撤去したりトラック並べたりと結構無茶しますが、なんせオカルトパワーで暴走してるので平気で線路から外れて森の中突っ切ったり水の中をつきすすんでいきます。でも、何故か線路にまた戻るのはご愛敬(笑)トラックや列車に突っ込んでもビクともしないタフぶりも見せます。森の中や水の中を進むシーンなどはミニチュア撮影してて流石に今見るとちょっとショボさを感じますが、本物の列車を使ったトラックや機関車との衝突シーンは結構迫力ありました。
また、序盤から空港までヒロイン見送った母親が帰りのタクシーで突っ込んできた鉄筋で首吹っ飛ばされるのを皮切りに、セクシー美女が顔ドロドロと溶けて自分で引きはがしたり、機関車のプレートで運転士の首切断されたり連結部で挟まれて身体潰れたり、チェーンで胴体切断や標識が胸に突き刺さったりとイタリアらしいサービス満点なスプラッター描写見せてくれます。
ヒロインのルックスもオカルトホラーにあってましたね。貨物車猟に乗っていて冷静に列車止めようとする美人女泥棒サヴァのクールな佇まいも好きですね。
ストーリー面は正直構成など大雑把で雑だし、意味のないシーンや伏線になってない伏線シーンなどが目立つ所はイタリアらしいと言えばイタリアらしいですね。機関車に乗り損ねた男女二人が森の中を彷徨うシーンちょくちょく入れてたけど、結局物語に深く関わる事も活躍もせずにアッサリ退場しちゃいますし。空気みたいな存在感だった笛吹き男のアレも唐突過ぎですし。
「処女じゃない!」で破滅するラストはしょうもなさ過ぎて笑ってしまいました。聖者も悪魔の復活阻止する為とはいえヒロインの処女奪いに来るって割とゲスな解決方法(笑)
イタリアらしくスートーリーは滅茶滅茶でアレですが、森の中だろうが何だろうが突き進む機関車のパニック描写とサービス満点なスプラッター描写が楽しい作品でした。しかし、ユーゴスラビアは良く協力したなぁ…