わたがし

ロープのわたがしのレビュー・感想・評価

ロープ(1948年製作の映画)
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 面白かった。たくさんゼメキスを感じることができた(ヒッチ映画からゼメキスを感じるのではなく、先にゼメキス映画からヒッチを感じておくべき人生でした)。完全にコントロールされたカメラワークとバミリで保たれ続ける緊張感。本質のない他愛のない話をしているだけの人物間の関係性が画だけでビリビリ伝わってくる。映画だ。
 しかもクライマックスの追い上げが(それまでの強ショットの積み上げ効果によって)めちゃくちゃすごくて、もはや役者さえいない、空虚な空間をカメラが動きながら映し続けているだけで役者が存在して演技をしているように見える。アニメーション監督のコントールフリーク感ともまた違う、本当に映像作法によるストーリーテリングのみで画面が作り上げられている気持ち悪さを感じた。概念の完全なる具体映像化。
 あと、こういうワンシーンワンカット映画の凄みというのは、ただパツンとカットを割っただけで何か物凄く状況が劇的に変化したことを表すことができることだとずっと考えて自分の映画でも実践したりしていたけど、その最たるものを観た。カットを割りすぎて麻薬みたいになって、ある瞬間を切り取ったショットがまた別の瞬間を切り取ったショットに接合する違和感、魔法みたいな感覚が失われてしまっている現代映画にない「カット割りの衝撃」があった。
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