桃子

ロープの桃子のレビュー・感想・評価

ロープ(1948年製作の映画)
4.0
「addiction」

たぶん見るのは2回目だけれど、すっかり忘れているので初見と同じである。いつもこればっかり(~_~;)
前回見た時の動機は、ワンカットで撮られた映画だから、という映画オタクあるあるだった。この時代はフィルムなので、最長でも15分くらいしか撮れなかったという。それを繋がっているように演出して7時半から9時15分までの物語を撮っている。この映画は、11分以内のフィルムを10本使い、110分ほど撮れたものを80分に編集したとのこと。どこが繋ぎ目なのか、全くわからなかった。
監督は、繋ぎ方よりも、照明に苦労したそうである。陽が落ちた薄暮からすっかり暗くなるまでの明るさを変えないといけない。スタジオで再現するのは大変だったに違いない。照明の他にも、色々と苦労したのだろう。実験映画とはそういうものだ。何事も最初にやる人はすごいのだ。
ストーリーは実際にあった誘拐殺人事件が元になっているそうだが、正直なところ、出所なんてどうでもいいと思えてくる。まるで舞台劇を見ているような感覚を味わえるし、私が苦手な(笑)、主人公の独り言シーンがないのも良い。
ジェームス・スチュワートは後半に登場するのだけれど、出てきた時は思わず「待ってました!」と(胸のうちで)叫んでしまった。大好きな俳優さんである。監督も好感を持っていたのか、全部で4本のヒッチコック映画に出演している。あとの3本も是非見てレビューを書きたくなった。
監督の映画は「ヒッチコック映画」というひとつのジャンルとなった。後世の映画監督たちに多大な影響を及ぼしている。トリュフォー監督のロングインタビューは是非とも見たいと思っている。ただ、映画のシーンがたくさん紹介されていて、未見の映画はネタバレになるので躊躇している。ヒッチコック映画を全部見てからにしたら、だいぶ先のことになってしまうし、悩むところである。
サスペンス重視で、あまり内容がないと悪口を言う人もいたらしいが、映画は見る人をどれだけ楽しませられるかということだと思う。ハラハラどきどきを楽しみ、ぞぞ~~~~~っとする恐怖を楽しみ、監督のカメオ出演のシーンはどこかと目を皿のようにしてしまう。監督の映画を1本見ると、次から次へと見たくなる。サスペンス映画好きなら、1度はヒッチコック依存症になってしまうのではないかなあ。
桃子

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