似太郎

生きものの記録の似太郎のレビュー・感想・評価

生きものの記録(1955年製作の映画)
5.0
黒澤明の時代を予見した傑作。タルコフスキーの『サクリファイス』の元ネタとして知られている。主演三船敏郎の核を極端に恐れるボケ老人役が素晴らしく、彼のキ○ガイ演技で支えられている作品といってもいい。

大作『七人の侍』を撮った後にこのような現代の不条理劇(社会派映画ではない)を作る黒澤の映画作家としての貪欲さはやはり認めざるを得ない。ラスト、精神病院に収容された三船敏郎の台詞「おお!地球が燃えとる!」に全てのメッセージが収斂されている。

このような黒澤明的終末論は現代に於いても十分通用するテーマである。今だからこそ再評価されるべき作品と思う。
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