御朱印帳

生きものの記録の御朱印帳のレビュー・感想・評価

生きものの記録(1955年製作の映画)
3.3
鉄工所を営む老人が水爆の恐怖から逃れるために家族と一緒にブラジルに移住しようとするので、家族は気が狂ったと思い、裁判所に禁治産宣告をするよう訴える...。

1955年、昭和30年の日本、1949年の「野良犬」と比べると、戦後日本もだいぶ小綺麗になり、雑踏もすごい。当時の家庭裁判所、歯科医院、ブラジル移民、精神科病棟、家族模様の様子が盛り込まれる。鉄工所も都心にあんな工場があつたなんだなあと。

三船敏郎が主演とは聞いていたがあの老人が三船敏郎には最後まで見えなかった。今で言う特殊メイクか。低音ながらも図太い声を出したり、がっしりとした体格を見て、ああ三船敏郎なんだと気がつく感じ。

今となっては、チェルノブイリ、東日本大震災、福島第一原発の事故が起こってしまい、また、ウクライナでも同様の懸念があることを踏まえると、妾や婚外子を養うなど破茶滅茶なあの老人も先見の明があり、あながち気が狂っているとも言えないが、漠然とした不安が高度経済成長に飲み込まれそうな感じだったのだろう.

それだけに、結末は悲劇的。
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