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生きものの記録のひぐちのレビュー・感想・評価

生きものの記録(1955年製作の映画)
4.6
その昔、ラジオで爆笑問題の太田光が伊集院光にこの映画をお勧めしているのを聴いて、いつか観てみたいと思い十数年。ようやく鑑賞。めちゃくちゃ良かったです。

黒澤明の現代劇を観たのは初めてかも...80年前の映画にして全く古びないどころか、今の時代にこそ突き刺さります。

原爆・水爆の恐怖から家族を連れてブラジルに移住しようとする老人。「狂っているのはあの患者なのか、この時世に平気でいられる自分なのか」

「死ぬのはやむを得ん、だが殺されるのは嫌だ」という悲痛な叫び。今も人の手には負えない脅威や危機が世界中を渦巻いていますが、誰もがそれを見ないふりをして暮らしている。もはやこの世に本当に安全な場所など果たしてあるのでしょうか。

以下はWikipediaからの抜粋ですが、、
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本作は興行的に失敗し、黒澤自身も「自身の映画の中で唯一赤字だった」と語っており、その理由について「日本人が現実を直視出来なかったからではないか」と分析している
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これはまさに真理という気がして恐ろしいです。
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