じゃいろ

デスプルーフ in グラインドハウスのじゃいろのレビュー・感想・評価

5.0
既にオールタイムベスト級に好きな映画だったが再見したら尚更その魅力にハマってしまった
やっぱタランティーノの感性は自分に見事にぶっ刺さる

デス・プルーフはよく前半はつまらないけど最後まで見たらめちゃくちゃ面白くなると言われているし、確かに初見時は同じ感想だったが、久々に見ると無駄なガールズトークも全てが無駄なく面白い
この会話劇は終盤でのカタルシスの為だけに存在している訳では無いと思えたのは大きな収穫だった

前半の女性陣がカート・ラッセル演じるスタントマン・マイクに車を凶器にぶち殺されるあのシーンは何度でも見返しているし、間違いなく今まで見た映画のなかで好きなシーンを決めろと言われたら一番最初に思い浮かぶ
そこに向かうまでのパブでのシーンもタランティーノの出演や、タランティーノ自身が自分を皮肉的に投影したようなスタントマン・マイクの立ち振る舞い(誰も知らない映画の事をドヤ顔で話すシーン)など楽しめる点が多い

そこからさらに面白くなると思いきや再び場所を変え、また別の女性グループの無駄話を聞かされるが、ここもまたつまらないだけでなくしっかり面白いのが上手い
前半で殺された女性グループとは無関係な人達で話を再開させたのも上手いと思う
変に友人で復讐の為に戦うとなると、このジャンルには相応しくなかったのかなとは思う 全くの別人だったからこそ、スタントマン・マイクが今まで舐めていた女性にやり返される構図がハマってる

後半のカーチェイスはめちゃくちゃ面白いが、何よりグッとくるのはバニシング・ポイントで使われた70年型ダッヂ・チャレンジャーと同じ車を使っている点
タランティーノは他の映画からの影響を全く隠さずに昇華させるが、ダッヂ・チャレンジャーを現代に走らせカーチェイスをさせるのはまさにタランティーノの作風の最上級の見せ方だと思う
さらにゾーイ・ベルがボンネットにいる状態という他の映画では見れなさそうなイレギュラーすぎるカーチェイスが見る者を飽きさせない

スタントマン・マイクがいざ女性にやり返されると情けなく泣き言を言い始める辺りが、撃たれる覚悟がないのに人を撃っていたような浅はかさを垣間見れて最高
そしてあの爽快すぎる終わり方
こんなの面白いに決まってる
じゃいろ

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