ダイナ

デスプルーフ in グラインドハウスのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

B級映画への愛情を感じる演出に配役やアクションのクオリティは下手なA級に劣らない、カートラッセル演じる変態爆走親父と獲物となるガールズ達の攻防に手に汗握る復讐アクション!

10年以上前に観ました。その時は最後だけ盛り上がったねという淡白な感想だったんですが今観てみると結構面白かったなという印象が強く残ったので文章化しておきます。

まず迫力ある画の求心力が素晴らしく、クラッシュした車と粉砕する女子達のシーンや、ボンネットに乗った女子(普通拷問の流れでこうなりそうなものを自ら乗り出して最中襲われるという流れのシチュエーションの持って行き方も面白い)が揺れる揺れる&車と車が擦れる擦れるスピーディなカーチェイスはスタントに拍手を送るべきベストシーン。

また復讐カタルシスという点に関しての即席さとテンポの良さはタランティーノ作の中でも群を抜いています。前半部と後半部で似た進行(狂人に目をつけられる女達)を途中まで映すも後半から全然違う展開にする発想。前半部にて一度狩られる女達の流れを映し、後半部で踏襲するかと見せかけての逆転を映しクライマックスで加速度を一段と上げる展開。狩られる女性達の像はクラッシュしたわけです。「あのときああだった流れ、次は違う流れで跳ね返す」という、ある種ループものにおける過去の障害を乗り越えるような爽快感に似たものを感じます。はいおわりっ!って感じのカラッとしたラストは本作の雰囲気にとてもマッチしていて良かったです。

ただ無駄話が長すぎるなという印象は今でも変わらず。タランティーノ作品はそこがいいだろといわれるかもしれませんが、他作のダラダラ話とかでは特に思わなかったんですが、本作はガールズトークが長くてしんどい。カラッとした女の子の下トークとアメリカンカルチャーに触れた内容、世界観を構築する上で大事な要素とは重々承知ながらもうちょっと短かったらなあという、しのぎにホットパンツのヒップに見惚れるのも飽きてきてしまうのが正直な所。クライマックスの爆発力は随一ながら無駄話のしんどさも個人的にデカい。

とはいえど、ワンハリに並んでスタント愛がとても伝わる作品。性別も人種も取っ払って「悪い事した奴には天誅を」なストーリーは毎度ながら毎回異なった時代と人物を捉える所に構想力の妙を感じます。なんにせよカートラッセルのヤバい姿情けない姿が最高。

話は変わりますが「首」のプロモで大忙しの北野武の次回作の構想が真面目&パロディ構成の作品ということで、パロディではないにしろ前半の流れを踏襲して崩すというの本作の構成みたいになるんじゃないかとワクワクです。
ダイナ

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