萩原くわがた

デスプルーフ in グラインドハウスの萩原くわがたのレビュー・感想・評価

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若い女の子を自動車でぶっ潰すのが大好きな、醜き変態殺人鬼中年があまりにも最高。
タランティーノのムービーオタク性が遺憾無く発揮されてる。主人公である女の子達がめっちゃ雑談して、日常ムービーをこれでもかと見せつけて、作中年代の倫理や世俗やカルチャーを馴染ませて、そこへ投下されるキチガイ。
まるでアリの巣を眺めたあと最後にジョウロで水を流し込むような気持ち。不道徳な楽しさが前半のシーンに詰まっている。
そしてそれを発射台にしての後半の展開、娯楽性の大爆発。エンドロール中に満足感を噛み締める。

エンタメの先鋭化が行われていない時代、カルチャーの王様が映画だった時代、良くも悪くも制約が無い時代の映画の”荒さ”をできるだけそのまま包み込んで現代に伝えてるタランティーノの手腕。愛すべき歪さがそこにはある。タランティーノの『好き』がそれを我々に最高の形で伝えてくれる。
ありがとう、タランティーノ監督…!