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実録飛車角 狼どもの仁義のスギノイチのレビュー・感想・評価

実録飛車角 狼どもの仁義(1974年製作の映画)
2.5
あまり面白くない。
しかし、菅原文太や小林旭の魅力は良く出ている。

2人は敵対関係にありながらも互いを認め合っている。
第三者が相手を侮辱すると激怒する程だ。
それなのに、顔を合せれば殺し合う。この関係性はいかにも嘘くさく「任侠」チックだが、抗争自体は手持ちカメラで凄惨な死に様を映す「実録風」で描かれるため、鼻白む事無く「男の絆」に没頭できる。

また、彦市の情婦・おきみを演じる中川梨絵が物凄く可愛いのもポイントが高い。
男臭い映画には不釣り合いな程の甘えた声。映画全体のトーンからは浮き気味なくらいだが、主人公以外に対してはこの声を出さない、という辺りがまた萌えポイントだ。
娼婦でありながら「初めて女の喜びを教わったのよ」と嘯き、夫婦茶碗で喜ぶ純情さもある。
「いいのよ。あたしね、売られても。アンタのためだったら、地獄に堕ちたって平気。」
有り得ないくらい男に都合の良いキャラクターだが、こんな無茶な萌えキャラを成立させているのが凄い。

東映やくざ映画において、任侠&実録のハーフのような映画は多いが、大抵はどちらかに偏っている。
それに対し、本作はかなりバランスの良い比重で配合されているように思う。
菅原文太の兄弟分を演じるのが待田京介と渡瀬恒彦だなんていかにも象徴的だ。
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