第30回東京国際映画祭にて。
そんなに難しい話ではないのに、筋に無関係なギャグや筋にちょっと関係ある茶番がやたら挟まれるふにゃふにゃした話の運びなので、話がなんだかよくわからなくなった。日本のヤクザの「フィリピンの庶民を麻薬漬けにしようとする陰謀」がハッキリとするのも終盤だ。
誰かが転ぶ、同じことの繰り返しなどドリフ的ギャグをゆったりとしたテンポで見せていくので、「中高年向き」という意味で、山田洋次の『家族はつらいよ』を思い出した。「巨漢の女性がヤクザと闘っている間、ずっと豚の鳴き声が鳴っている」「牢屋にキチガイと一緒に閉じこめられる」といった差別的なギャグも時代を感じる。
後半はなぜかロックミュージカルになり、ヤクザと修道士とシスターが踊り狂うのだけど、今回の東京国際映画祭で出品されると思っていたのに出品されなかったブリュノ・デュモンの新作(ジャンヌ・ダルクの幼年期をロックミュージカルにした映画らしい)の代わりとして、自分は納得することにした。
しかし、テープの重要性とブランコ神父の役割が結局わからなかったなぁ。主人公のジョニーが「blank(空白)」という言葉からブランコ神父を連想したことから、特に意味のない「空白」の存在ってことでいいのかなぁ。そんなに真剣に考える映画でもないのだけど。
あと、日本のヤクザの親分、パッと見が行定勲監督に似ている。