ネズミツオ

サバイバル・オブ・ザ・デッドのネズミツオのレビュー・感想・評価

4.4
ロメロ監督が描いてきたゾンビ映画の中で、歩く死体は例え身内であろうとも退治せよ。さもなくば生き残る道は残されていない派と、生ける屍とどうにか共存出来ないか?保守的に考える科学者の意見双方を孤島で生活する頑固者爺さんの対立に委ねた善くも悪くも結局は人間自信が答えを見つけるまんまサバイバルな世界観。

今度のロメロは西部劇タッチだってよ!と公開前から話題になり、初日には熱狂的なファンがウエスタンルックで見に来ていたけど、なんとも言葉にならないホンワカしたゾンビ達に信者の多くがゾンビのようにトボトボ落ち込み劇場を後にする姿が忘れられない思い出に…。

特にテンションの高いフェリーでのアクションが面白い!「知恵を付けてる!」などと驚いてる場合か!と突っ込みたくなるゾンビが運転する車。前進後進をものすごい早さでやってのける。乗馬をしたり、動物の肉を食べたり、外見は腐っているけどやってることは生者と同じ。スペックの高いゾンビを人間風味に調理して、奇しくも遺作となってしまったサバイバル・オブ~は案外奥の深いストーリーなのかもしれない。

争いを止めない限り我々に勝ち目はない…それが生前の記憶で拳銃を向け合いお互い命尽きるとも。やはりシニカルな笑いを忘れないジョージ・A・ロメロのゾンビ映画は一筋縄ではいかない魅力がある。

【2017年9月2日(土)】
新文芸座『世界にゾンビをありがとう!追悼ジョージ・A・ロメロ 』オールナイト上映で鑑賞。

※初見は2010年6月12日、
池袋シネマサンシャインで
(公開初日)
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