カテリーナ

不滅の恋/ベートーヴェンのカテリーナのレビュー・感想・評価

不滅の恋/ベートーヴェン(1994年製作の映画)
5.0
名曲『月光』から浮かび上がる悲愴

ゲイリー・オールドマンがどんなに
猟奇的な殺人犯や女子供も容赦無く
射殺する悪徳警官を演じようと
誠実で心根の優しさを私に確信させ
心に深く刻んだ作品となった

この作品をきっかけに婚約を交わした
イザベラ・ロッセリーニとのシーンで
彼女が何気無く肩に置いた手に気付き
顔を上げるゲイリー
人間誰もが善と陰を持ち合わせる
ベートーヴェンを演じてる
ゲイリー・オールドマンを通じて
役柄を越えた人間性が滲みでた
瞬間だ
こんな事は滅多にお目にかかれない
理屈ではなく心に響いたのだ
説明のつく演技力の深さをみせる俳優は山ほどいるが
そんな演技ができるのは今のところ彼だけだ

端から見れば
意味不明な私のこの感覚は
言葉で説明出来できない

演じる事で観客のひとりに見せる奇跡とでも言おうか

映画の序盤でベートーヴェンが
少しずつ失われて行く聴覚に
縋るようにピアノに耳を当てて
弾く『Moonlight sonata』
この曲を聴くたびに蘇る
その時の表情から 浮かび上がる
悲愴 その素晴らしさよ
カテリーナ

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