Teriyaki88

渋谷のTeriyaki88のレビュー・感想・評価

渋谷(2009年製作の映画)
2.0
印象記録


私が受け取った解釈は
家庭の関わり方が合わないある個人は、そのアイデンティティを薄めるために都会に逃避したくなる。
しかしそんな思いだけで渋谷に来るとスクランブル交差点のように人間関係は行き交うだけで、自分の存在意義がないと感じてしまう可能性があると。
そういう自分を慰めるように故郷を否定してみることで、また同じスパイラルに陥ってしまう。自分のまわりにあるものを許さない限り抜けられない。
匿名のまま存在するのは自由であるがゆえに危ないところもある。それを渋谷の混沌をメタファーに表現してみたといったところか。


気の抜けたコーラみたいな映画。


母娘のエディプスコンプレックス的なものが原因となった娘の困惑に、超個人的な見解の渋谷の混沌を重ね、自主映画風のルックスと全部台詞で説明してくれる親切設計が、重たい話を軽い印象にさせて、思いの他見やすい。

けど、何も残らない。
喉越しの良い清々しさもなければ、深みのある余韻もない。


そもそもターゲットと表現を履き違えているのでは?
きっと内面を掘り下げることに感度の高い人が見るには、この映画が表現したことは入り口すぎて新た発見がないし、逆にそういうことに無頓着な人はこういう映画を見ないし、このテーマの存在意義もわかろうとしない。
テーマ先行で都合のいいキャラクターを置き、段取り構成に加え、奥行きのない表現が、結局どっちつかずになった原因か。

台詞の箇所箇所はよかったのでそれ自体をエピソードにした方が芯のある映画になったのではないか。
キャラクターありきで、こういうテーマをあぶりだしたいところかと。



綾野剛 / 3.5 この作品のムードの中、良いバランスだったような。
佐津川愛美 / 3.8 斜めに影が入った娘の感じを上手く表現した。心の問題を告白するのにもう一工夫、役柄らしさを加えるともっとよかったような。