odyss

キングダム・オブ・ヘブンのodyssのレビュー・感想・評価

キングダム・オブ・ヘブン(2005年製作の映画)
3.2
【あまりに現代風な考え方の主人公】

(以下は2005年に書いたレビューです。)

『ロード・オブ・ザ・リング』で一躍人気者になったオルランド・ブルーム主演。 

12世紀のエルサレムを舞台に、キリスト教徒とイスラム教徒の対立と戦争、そして和解を描いている。歴史物として衣裳や風俗の味わいや、戦闘シーンの迫力は十二分にあり、それなりに映画としての満足感が得られるが、主人公の思考形式や行動様式があまりにポスト・コロニアルで、つまり現代民主主義風で、これが12世紀のキリスト教徒なのかなあ、と疑問が湧いてくるのを押さえきれない。 

イスラム教徒はかなり好意的に描かれているが、逆に言うとあくまで「善意の他人」に過ぎない、という気もする。 

いささかイデオロギーがかった言い方をするなら、ヨーロッパ中心主義はその意味でちゃんと貫徹されているのである。
odyss

odyss