【1993年キネマ旬報日本映画ベストテン 第7位】
『十九歳の地図』柳町光男監督作品。東京国際映画祭ではコンペに出品され、審査員特別賞を受賞した。
柳町光男監督は『カミュなんか知らない』はよかったが『十九歳の地図』はそれほど、という感じ。そこまで好きな監督ではないが、しっかりとした演出手腕を毎回みせてくれるのは認める。
本作もそこまで面白いと思えなかった。冒頭で中国人留学生への差別意識が内面化していることを謝罪している。正直そこまで差別意識は感じなかったけど。
日本に来た中国人留学生の青年が、その生き方をめぐって彷徨うという話。淡々とした描写が続くのはいいところだと思う。過度に盛り上がりをつくらない姿勢は評価できる。
ただ、描写や展開が一本調子で飽きてしまうのも事実。結末こそえっ!?と思ったが予想の範囲内ではある。
よく出来た人間ドラマだと思うが、そこまで切実に迫ってきている感じはしなかった。悪くないけど好みじゃない。