ハレンチ学園在学生

煉獄エロイカのハレンチ学園在学生のレビュー・感想・評価

煉獄エロイカ(1970年製作の映画)
3.7
日本近代批判三部作の二作目。前作「エロス+虐殺」の大杉栄と伊藤野枝、次作「戒厳令」の北一輝のような歴史上の人物は登場しない。本作は時制が3つある。1952年(過去)、70年(現在)、80年(未来)。それぞれに明快な差異はなく登場人物の台詞からそれとわかるわけだがそこにあまり意味があるとも思えない。批判される対象は共産主義者(映画では「党」と言っている)による革命だろうが、これといった明確な批判的な描写はない。ただし同志の女性をリンチして裸にして殺してしまうシーンがあり、そこは72年の連合赤軍事件を予見しているように見える。本作が魅力的なのはそのような内容にあるのではなく、ひとえに人物、建物、背景の空間把握と構図である。長谷川元吉による撮影が素晴らしい。