Habby中野

煉獄エロイカのHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

煉獄エロイカ(1970年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

究極的に「見る」ことを奪った映画。つまり、自身に誠実な映画だと言えるかもしれない。強烈な社会批判、社会人間批判は、しかしその見ることの死とともに結局の思考さえ奪いかねない形でぼやける。いや、思考の過程と結論の力を置き去りに、問と解答欄のバラバラを、そのパズルを思考とさせようとしているのか?大量の言葉を飲み込んで膨らんでつまずいて少し吐いた感じもある。よくわからないが球の重さと球速だけは絵筆に乗って感じられた。技倆と技量がすごいが器量はなくまだよくわからない。
少女の探していた母親とは何か?そもそもあの少女は一体だれ?あの演習は何だと言うのだ?華麗な方法による見ることの死と思考の侵攻だがその答えはわからない。こうして考えることが正しいのかさえわからない。しかしこんなやり方じゃ全てが伝わるはずはない。妥協のないことによるジレンマ。
どんなに自問自答し自己批判をしても、或いは計画を練ろうが誰と寝ようが、窓の外は眩しすぎて何も見えず、スタンドライトは内側の暗から少しを選んで強烈に照らす。もっともっとあって、これは少しだけど、それだけでも十分なくらいに目が痛くなった。
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