いののん

ビリー・ザ・キッド/21才の生涯のいののんのレビュー・感想・評価

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眠っても両目はつぶるな


「Once Upon a Time in the West」の鉄道王:モートン。海を渡ることを夢見て、叶わなかった男。どうやら、この映画にもそういった男が登場するらしい。それから、ビリー・ザ・キッド!この名前は聞いたことがある。だけど、どんな男なのかは全く知らず。名前がすでに、かっちょいい!だから、さあ、観てみよう!



セルジオ・レオーネ監督にはモリコーネ大先生がいる。そして、この映画、サム・ペキンパー監督には、ボブ・ディランがいる。なんと、劇判もボブ・ディランなら、出演まで!!!なんとなんと、♪天国への扉♪が、この映画のための曲だったとは!!!大・感・激!


「Once~」で蝿と共演したジャック・イーラムが、本作にも登場。台詞もあり、見せ場もあり。そして、「Once~」でシャイアンを演じたジェイソン・ロバーズは、知事の役で登場。私は昨年から70年代の映画も観るようになったので、ビリー・ザ・キッドを演じたクリス・クリストファーソンもわかるんだ!(「アリスの恋」「ガルシアの首」に出演した優男です!)そのビリーを追う保安官ギャレットを演じるのは、ジェームズ・コバーン。えっへん♪もちろんわかりますよー!


ビリー・ザ・キッドは、沢山の人を殺してきた。そのビリーを捕まえるべく、追っかけるのが、保安官ギャレット。この保安官ギャレットは、かつてはワルで、ビリーの友人だった人。ギャレットは保安官になって人が変わったと、皆から非難される始末。このギャレットが、ビリーを求めるサマが、もう愛がありすぎちゃって、たまらない。こりゃ純愛だな。男が男を追い求める気持ちに、女が入り込む余地はない。あくまで女はいっときの癒しであり、飾り物に過ぎないのだなあと痛感する。このギャレットが、ビリーを追い詰めて、ビリーを想う切なさに、ボブ・ディランのKnockin' on Heaven's Door♪もう、文句などあろうハズもございません。


あと、馬や牛に加え、七面鳥もよく出てくる。威勢の良い七面鳥。クリスマスにおとなしく饗される七面鳥じゃなくて、走り回る七面鳥。なんと、ボブ・ディランまで投げ縄で七面鳥を捕まえる。


西部開拓時代の終焉に、ビリーの末路。銃を撃って鏡を割るギャレット。「Once~」が、レオーネが描く西部の終焉ならば、今作は、それを受けたサム・ペキンパーが描く、終わりの物語なのだと思う。
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