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喜劇 男の泣きどころのumihayatoのレビュー・感想・評価

喜劇 男の泣きどころ(1973年製作の映画)
5.0
神保町シアター笠智衆と老俳優特集にて。

ポルノ規制担当刑事のフランキー堺とポルノ映画の巨匠監督、笠智衆という
まさにチン品。

前半は「下品だなぁ」という感じでいかがなものかと思ったところもあった(ひとり退室してた女性がいた)が
フランキー堺が"法"を盾に大も小も手当たり次第にポルノ(気に食わない表現や描写)を規制し、挙句にはポルノアレルギーからEDになり、奥さんとの性生活と妊活に支障をきたし苦悩する中盤。
そして、それを助けるのが彼が目の敵にしていた明るいストリッパーと、同じ予科練で今は裏ポルノ業者をやっている親友という後半の流れにかなりグッとくる。

当時のポルノに対する世情や規制の形はよくわからないけれど、1972年から9年続いた日活ロマンポルノ裁判というのもあり(判決では「性描写をどこまで許すかは、時代と共に変わる社会的通念による。」とした上で「映倫の審査はすでに一定の社会的評価、信頼が確立されており、映倫の審査を尊重するべき」とした。検察庁はこの判決を不服として控訴。
1980年、二審の東京高等裁判所も一審とほぼ同様の理由で判決を支持、検察側の主張を棄却し、無罪判決。)

文脈を無視した規制。権力に対する表現の自由の戦いを、風刺という形でまとめ、さらには主人公を刑事にする事で、規制側の人間も「個人で見れば割を食った1人の人間」という同情も見て取れて、余裕と懐の深さが垣間見れる。


春川ますみが脱いでてちょっとビックリしました。
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