イチロヲ

カトマンズの恋人のイチロヲのレビュー・感想・評価

カトマンズの恋人(1969年製作の映画)
4.0
パリ五月革命の躓きにより自己喪失状態に陥っている青年が、旅先のカトマンズにてヒッピーのフランス人女性(ジェーン・バーキン)と知り合う。60年代末期のヒッピー・ムーブメントを同時代性豊かに描写している、ヒューマン・ドラマ。

精神レベルの変革を追求する(非アジア圏の)若者たちが、ドラッグをキメて、フリーセックスに励み、ピースフルな歌をうたい、仏教の思想に傾倒していく。ネパールにてロケ撮影しているため、シチュエーション移動が面白い。

あくまでも、ヒッピーというフィルターを通しながら、自分を見つめ直すためのきっかけ作りを提起していくスタイル。エンタメ路線とは異なるため、「ヒッピーが生み出したアートワークを楽しみたい」という欲求を満たすことはできない。

人生の浮き沈みの「浮き」の部分をエモーショナルに表現して欲しかったが、生き甲斐を探し求める男女のすれ違い劇、または同時代的なヒッピー劇としては及第点。セルジュ・ゲンズブールのサイケ音楽もまた醍醐味のひとつ。
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