しゃりあ

悪の教典のしゃりあのレビュー・感想・評価

悪の教典(2012年製作の映画)
3.7
ミステリだった原作から、普通にスラッシャー物になっとる
いうたら『ヘイトフルヘイト』の銃撃シーンの詰め合わせみたいになってた

スクールアタックのリアリティを出すためなのかはわからんが、普通にデスゲームモノっぽくなる後半の攻防みたいなのをガッツリ削っている

フギンとムニンのくだりも、ラスト白濁した眼とかでちゃんとやってはいるものの、むしろそれがメタ的なテーマとして機能するのではなく、映像がただハスミンの視点からのモノになるように用いられている

原作では結構にっちもさっちも行かなくなったから全員殺しちまうか!みたいな感じだった記憶があるけど、映画版はそんなに行き詰まっている感がないまま、スムーズに虐殺に移行していた
それはおそらく文化祭の"縁もたけなわ感"をかなり意識して作られているからで、ハスミンの虐殺シーン自体が、楽しい文化祭を「ぶち壊す」ものではなく、それ自体が「楽しい文化祭」であり、祝祭として描かれているように思う
マックザナイフの流れるシーンなんかは、某犯罪者の「勃起した」とか「射精した」みたいなエクスタシーでも、抑圧の解放でもなく、単なる高揚として描かれているのが印象的だった

ただ、なんか喋る銃とかは原作でもあったっけ?って感じで、ラストの心神喪失を装うシーンのわざとらしさがかなり損なわれてしまっていたように感じた

エンタメに振るなら、ぶっちゃけデスゲーム化した方が面白いとは思うんだけど、まぁ普通に、ハスミンの高揚やハスミンの視点と観客を同期させる仕掛けによって、連続殺人鬼の特集記事とかネットで読んでアガって面白いと感じてしまうような根暗さと、徹底した非情さ(姦通してた女を殺す時ためらってた部分の削除とか)の対比で、ちょっと警笛を鳴らすような感じは良かったと思う

つか、この原作出た頃は「サイコパス」って単語が濫用されずにちゃんと使われてたな〜って懐かしい気持ちになった