みんと

マイライフ・アズ・ア・ドッグのみんとのレビュー・感想・評価

4.3
ずっと観たかったラッセ・ハルストレム監督の出世作を鑑賞。

う~ん甘酸っぱくて、懐かしくて、郷愁を誘う作品だった。そして北欧流のユーモアに溢れ、まるで不思議の世界に迷い込んだかのような感覚。

ともあれ主人公イングマル少年の演技とは思えない子供らしい演技がそれは素晴らしかった。
辛い状況をライカ犬に託して自分を元気づけるなんて子供にしては哲学的過ぎない?ってちょっとふふっとするくらい可愛い。大丈夫!大丈夫!って思わずムギュ~っとしてあげたくなる愛おしさだった。

初めて迎える試練にしてはあまりにも大きい喪失感と、決して性をタブー視せずしっかり描いている感じも魅力的。また、宇宙を飛んだあのライカ犬、地元開催のワールドカップで準優勝を果たした時代設定…と社会背景が見事に混じりあってる印象。

村人たちとの触れ合いや子供同士の関わりの中で少しずつ着実に成長する姿にグッとくる。とりわけ叔父さんの包容力と言うか寄り添い力が満点級だし、寝たきりおじいちゃんも良い。ただ、死期を目前に、幼い兄弟にもっともっと注ぎたかっであろう母の愛情と、注げないもどかしさを思うと切ないのは母親目線。

通してのどかて牧歌的な世界観の中で“性”と“死”を絶妙なスパイスとして描きあげる、紛れもなく名作に違いないと思う。

今となっては忘却のかなた『ギルバート・グレイプ』の監督作と知ると成程!納得の拘りの世界観とか時代感。
あちらはキャスト力が半端なくてそれだけでも価値があるだろうけど、コチラもまた素晴らしかった。

あとワンコのシッカンがめちゃくちゃ可愛いくて癒された♡
みんと

みんと