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追想のkuronoriのレビュー・感想・評価

追想(1956年製作の映画)
4.0
原題は、「アナスタシア」。
ロシア革命のとき、ロマノフ王朝の最後の皇帝だったニコライ二世夫妻とその子供達は全員銃殺されました。アナスタシアは四姉妹の末妹で処刑当時17歳でした。皇妃は「子供達は撃つな!」と銃の前に立ちはだかって叫んだそうです。

この辺のことはあまり知識がないので、とりあえずネットで調べてみました。
処刑後にレーニンが
「ニコライ二世は処刑されたが、家族は安全な場所にいる」と嘘の公式発表をしたことや、政府がソ連崩壊まで家族全員を処刑したことを隠匿したことで、アナスタシアが生存しているのではないかと囁かれるようになったようです。
その後、私こそはアナスタシアであると名乗り出た人は30人以上いたとか。
その中で一番有名なのが、本作のモデルになったアンナ・アンダーソンで、多くの支持者を集めました。

処刑から10年後が舞台です。
物語は暗く静かに進行していきます。ユル・ブリンナーは、偽のアナスタシアを擁立して、ロマノフ王朝の財産を狙うロシア帝国の元将軍です。
イングリット・バーグマンは過去の記憶を失っていて、絶望から川に身を投げようとしたところを拾われます。
計画は着々と進行し、バーグマンはどんどん美しくなっていき、元ロシア貴族達と交流するようになり、舞台も衣装も綺羅びやかで美しくなっていくのですが、映画自体のムードはどこか儚く寂しい調子を保ったままです。
感情を抑えて、静かに終わっていくこの映画。
私こういうのに弱いんですよ。
…まいったな。

ユル・ブリンナー適役です。他の人だとこうはいかない。
イングリット・バーグマンは、本作でアカデミー主演女優賞を獲得しています。
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