みてべいびー

追想のみてべいびーのレビュー・感想・評価

追想(1956年製作の映画)
3.5
ロマノフ王朝版マイフェアレディって感じ。話としては評価しづらいけど、Ingrid BergmanとHelen Hayesの演技が素晴らしくて観てよかったと思える。Bergmanがガス燈でアカデミー主演女優賞獲ったのは知ってたけど、この作品でも獲ってたんだね。彼女は聡明で奥ゆかしい女性を演じることが多いし、実際にそういう人だったんだろうと思う。だからこそこの映画では、自分が何者なのか確信が持てない不安を抱えながらも、威厳あるアナスタシア皇女としてのアイデンティティーを取り戻していく様が逞しく映って新鮮だった。正直マイフェアレディよりも終わり方は好きだな。

皇太后「寂しい老人なら喜ぶとでも?」
アナスタシア「私だって寂しい」
皇太后「皆そうよ、その責任は自分にある。見せかけでは心は満たされない」

皇太后「昔と同じだと女官は言うけど間違ってる。私たちも変わらないと、過去と一緒に朽ち果てるわ。私は過去よ、過去は甘くて懐かしい。現在にはなじめない。そして未来は?私にはもう関係ないけどあなたは違う、あなたのものよ。(ネックレスを)外してちょうだい」
アナスタシア「フィギーの?」
皇太后「あげるわ」
アナスタシア「もう一番大切な物をいただいたわ、私自身よ。ありがとう」
ってやり取りが好きだった。
みてべいびー

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