たむ

吶喊(とっかん)のたむのレビュー・感想・評価

吶喊(とっかん)(1975年製作の映画)
3.5
岡本喜八監督が『肉弾』に続いて1000万円映画のATGで作り上げた幕末青春残酷物語。
岡本喜八監督の描く人物は明るく元気な敗者である事が多いです。
本作も賊軍側にいる青年と官軍の密偵になろうという青年の奇妙な友情が描かれます。
自分の欲望には素直ですが、情勢は劣勢。
時として、噴出するような官軍の残酷な行為が映されます。
岡本喜八監督の映画は敗戦の経験が『日本のいちばん長い日』や『激動の昭和史沖縄決戦』『肉弾』などのように直接描き出すこともあれば、本作のような時代劇で描く事も多いです。
敗者だからといって悲惨な心理だけではなく、生きるためにテンポが良く、エネルギッシュに描き出されます。
だからこそ勝者が敗者に何をしたか、が現れる時、強烈な対比となります。
本作も殆どが明るい青春映画、しかし時々凄まじい勝者の残酷さが見えてきますね。
たむ

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