寂々兵

吶喊(とっかん)の寂々兵のレビュー・感想・評価

吶喊(とっかん)(1975年製作の映画)
3.9
仙台藩軍の弱腰にブチ切れた下級藩士の高橋悦史が、仙台藩参謀の岸田森に「仙台藩兵はドンゴリ(ドンと大砲が鳴ったら五里逃げる)と揶揄されている」と叱咤する。岸田森はクールにあしらうが、その刹那大砲の音が鳴り、そそくさと立ち上がったかと思えば部下を引き連れて五里は逃げんばかりの勢いで立ち去る。このシーンが最高。そして高橋悦史の方も、岸田森の「百姓でも使って白河を取り戻してみろ」という捨て台詞を真摯に受け止め、地元の百姓と博徒を集めて「カラス隊」を結成し戦渦に赴く。主演は伊藤敏孝と岡田裕介で、この二人が時代の変革そっちのけで性と欲望に突っ走る様が面白いのだが、大人たちのやり取りも非常に痺れる(特に序盤の仲代達矢カッコ良すぎ)。喜八の中でも五本の指に入る戦争悲喜劇の大傑作。
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