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ドールズのhorahukiのレビュー・感想・評価

ドールズ(1986年製作の映画)
3.7
親であることは権利ではない!

車で旅行中にタイヤがぬかるみにハマり、仕方なく立ち寄った屋敷は人形の巣窟だった…。怪しい老夫婦、全ての部屋に所狭しと飾られてるメルヘンなアンティーク人形たち。そんな中、人形たちがキャッキャしながら極悪非道の限りを尽くす人形ホラー。

監督が『死霊のしたたり』のスチュアートゴードンにしてはグロゴアへの遊び心は控えめ。実際には犠牲者の内臓が飛び出てくる…みたいな描写も撮影されたらしいのですが、作品の雰囲気から逸脱しているという理由で削除されたみたい。それもそのはずで、本作は子供中心の物語。なのでジュブナイル的な要素のある楽しい作品でした。

主人公は空想癖のある幼い少女で、実父・継母と一緒に屋敷にやって来る。継母は主人公のことを露骨に疎ましく思っていて、実父もそこまではいかないながらも継母>娘な状態。完全に毒親たち😱『ヘンゼルとグレーテル』との類似やその際の柵越しショットでも主人公の状態をわかりやすく念押ししてる。

この主人公の空想が深層心理の発露としての役割を担っていて、冒頭で大事なテディベアを継母に投げ捨てられた時に、森の中から現れた巨大化したテディベアが両親を残虐に殺害する姿を幻視をする。この辺りは2018年の短編ホラー『Dual』あたりにも引き継がれている気がする。

屋敷にいるアンティーク人形たちも同様に、愛情を受けられない子どもの深層の代弁者としての趣旨を秘めているのも丁寧。こちらはそのまま『チャイルドプレイ』のチャッキー大先生に、大量のオモチャに襲われるのは『パペットマスター』『デモーニックトイズ』『キラーホビー』にそれぞれ受け継がれているし、子ども主体の人形ホラーのひとつの雛形を生み出しているような気がする。何気に重要作になるのでは?

残念なのは屋敷にやってくるヒッチハイカーたちの扱い。冒頭でクソ両親に轢かれそうになるところで彼女たちの背景事情は推察できるようになっているのだけど、主人公の将来におけるあり得べき可能性ではありながら、救済は欲しかったなーって思った。

あと邦題のせいで勝手に『デモー二ックトイズ』(邦題が『ドールズ2』)の前作にされてしまったのも可哀想😂本作も製作がチャールズバンドで、内容もオモチャが大量に襲い掛かってくる作品だし、可愛い兵隊人形も出てくるから確かに似てるのは似てるんだけど…😅
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