ある屋敷を訪れた人たちが一夜のうちに次々と殺されるホラーでありながら、主人公が妄想癖のある少女だったり屋敷に大量に置かれたチャーミングな人形たちだったりとどことなくファンタジーなテイストも感じられるのが独特の面白さを生んでいる作品。そんな可愛い人形が突然動き出して屋敷にいる性格の悪いやつを殺していくギャップがたまらない(しかも人形なのでちょっとずつ相手を傷つけてダメージを蓄積させていくのがエグい)し、そんな人形の正体が明かされていくラストが不気味。
屋敷に住む老人夫婦は恐れる対象のはずなのに、愛嬌のある振る舞いや主人公を見守っているかのような優しい接し方のためか妙に憎めない。
少女の父親と義母がろくでもない親だったり、主人公と行動するのが気の優しい青年でいつしか肉親のような存在になっていったりと「親離れと成長」というテーマが随所に出て来てドラマを深くしている。人形を愛していた少女が大事だったものと別れて大人への一歩を踏み出すラストは劇中の老人夫婦のように嬉しくてどこか切なくなるはず。でもそこからのラストが獲物が引っかかる過程を見ているようで怖くなる。
劇中での人形のなめらかな動きかたや殺しかたといい、デーボやしげちーのスタンドなどジョジョの奇妙な冒険は結構な影響を受けていることに気づかされる。