『切腹』が良かったので、同じ小林正樹監督の映画で良さそうなこちらを鑑賞。「黒髪」「雪女」が特にお気に入り。余計な音楽もなく、人間の心理が表に出る演出が良かった。
「黒髪」は何とも気持ちの悪~い話。Jホラーの元祖とも言えるのでは。
「雪女」は実は切ない恋の物語だと気付いた。だって、若くて美男子だからって殺すのを止めるんだもの。助けてやるが、このことを親にでも喋ったらその時は殺すと言い残す。
そして雪女は正体を隠して男の元へやってきて夫婦になり、子供をもうけるわけだが、男の親も亡くなり、信頼出来る家族となったお雪をある日、男はあの夜の雪女に似ていると思ってしまう。
そして忘れていたあの夜のことをお雪に話し始めるのだった。
それは信頼しているからこそだったのだろう。あのまま男が雪女との約束を破らなければ、二人は末永く共に暮らせたはずだ。
お雪にしてみれば、男の親も亡くなり、これであの夜のことを話す相手もいなくなったと思ったかもしれない。それがまさか自分に話してくるとは、、と想像すると面白い。
あの夜のことを誰かに話したら殺す、と言ったのに、結局は子供たちの為に男を殺すことはしないお雪。本当は惚れてるんでしょ。素直じゃないなぁ。なんて(笑)
雪女って、とっても慈悲深いと思いませんか。
「雪女」のストーリーは知らない人も珍しいと思うので、ネタバレ表示しませんでした。
「耳なし芳一」「茶碗の中」もかなりの良作です。「茶碗の中」は知らない話でしたが、こちらも何とも気持ちの悪い短編です。合わせて3時間は決して長く感じませんでした。