ダイナ

怪談のダイナのレビュー・感想・評価

怪談(1965年製作の映画)
4.2
怪談話4遍「黒髪」「雪女」「耳無芳一の話」「茶碗の中」を映すオムニバス映画。

冷遇の環境下で反省し、捨てた元妻への愛を思い知る男や、美女と交わした約束をうっかり反故にしてしまう男などなど、出てくる登場人物達の行動が現代においても「こういう奴いる」という普遍的所業で好き嫌いは別として親しみやすい人物像。そんな人達不思議な現象に身を堕とし自らの業により「普通」の道から外れていくその様子、意地悪な捻りがない純粋無垢な摩訶不思議話が怪談の怖さでもあり面白さです。

堅苦しく書いたものの本作の最大の魅力は耳無芳一がクッッッソかっけえということ。全くの予想外。なんなんだよこの坊主、かっこよすぎるよ。痺れるよ。というかこの話の世界観の合戦の壮大さや謎空間Liveみたいなシチュも洋画じゃお目にかかれない和の雰囲気でなんだか凄いもの観たぞという満足感。雪女に関しても、まあ恐怖はありますけど個人的には愛くるしさ感じるわけでそら愛されてアイコンとして現代まで擦られるわけですなあ!?という納得の佇まい。雪女のラストの雰囲気もイイ!

屋外ロケも良いけど特に屋内セットの凝りよう、自然の感じや人間を超越した幻想感、昔の作品といえど惹き込まれる空気感がとても素晴らしい。無常で無情、だが情もある。現代人にとってこれらの話は新鮮味が薄いかもしれません。数多の作品からエッセンスを知らず知らず受け取っているからに他ならないわけですが、そういう下地があっても、裏切られる意外性の面白さよりも、「継承されてきたお話」の強度をとても強く感じるとともに自身の怪談像との知ってる部分やそうだったのと驚く部分の照合も楽しいポイントです。小林正樹サイコー!小泉八雲アリガトー!
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