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ユリシーズの瞳のDのレビュー・感想・評価

ユリシーズの瞳(1995年製作の映画)
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天才、テオ・アンゲロプロス監督。ホメロス「オデュッセイア」(英訳ユリシーズ)をベースに、ロードムービーであり、ギリシャからブルガリア、ルーマニアを経て内戦中の激戦地の歴史を描く。

美しく幻想的な映像からはじまり、現在と記憶が混じり合い、果てしのない虚無を3時間かけて瞳に映し出すことを強制される高尚で難解な映画だが、アートな芸術作品としても高い完成度を誇る。

特に仰天なのは、その最中に放り込まれるワンカット長回しのダンスシーンを通して、6年もの時間を凝縮して表現されるスぺクタルシーンには唸らせられる。

幻の映画フィルムを探し求める映画監督が、ラエボへと辿り着くと、幻想的な映像美だけでなく、紛争の激戦に伴う、損壊していた街並みが映し出される。銃声音が鳴り響き、炎と煙で覆いつくされる。

そして、アンゲロプロスとハーヴェイ・カイテルという意外な組合せだが、芸達者な懐の深さを発揮し、名優たる実力を示している。

1995年のパルム・ドールが「アンダーグラウンド」、そしてグランプリが本作であり、ユーゴ紛争という当時の世界情勢を大いに反映した受賞作品が興味深い。

カンヌ国際映画祭グランプリ受賞。

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