Bobsan

ザ・フォッグのBobsanのレビュー・感想・評価

ザ・フォッグ(1980年製作の映画)
5.0
カーペンター監督は「ハロウィン」(78)で"ブギーマン"ことマイケル・マイヤーズを肉体を持ちながら、突然現れたりいつの間にか消えるといった超自然的な存在として描く事に成功していましたが、本作はその反対で、霧と共に現れる亡霊たちを、超自然の存在でありながら、刃物を使って攻撃してきたり扉やステンドグラスを壊して侵入して来るなど、物理的な存在としても描きました。
カーペンター監督は、自分の作品に登場するモンスターや超自然の存在は、人間の内面に潜むものの象徴であり影だと仰っているのでこのような演出が可能なのかと思います。本作で言えば繁栄を築いてきた港町の裏に潜む欺瞞や悪意の象徴が、あの蛆虫ののたうつ腐敗した亡霊たちの姿という事になるのでしょう。
しかしこれはカーペンター監督ならではの絶妙なタイミングやセンスの賜物で、これを真似してみようと思ってもなかなか難しいと思います。ロブ・ゾンビの「ハロウィン」は大好きな作品ですが、カーペンター監督とは違うアプローチでマイケル・マイヤーズを描き、デビット・ゴードン・グリーンの「ハロウィン」続編3部作も健闘は讃えますが最終的にはちょっととっ散らかった感じは否めませんでした。
唯一無二の感性を持ったカーペンター監督はやはり偉大だなあと思います。
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