まずこの映画をロシア人の監督が撮っているということに当時驚かされた。
そしてキャスティングになんとも言えない味がある。
日本の歴史の転換期とも言える激動の数日間をゆったりと、そしてまったりと描いている。
必ずしも史実に忠実というわけでもなく、脚色されている部分もあると当時監督はインタビューで答えていたが、それらを全部ひっくるめた上で観ていて一瞬「ドキュメンタリーなのでは」と錯覚させられそうにるくらいのリアリティが全編に漂っているのがいい。
そしてイッセー尾形が演じる昭和天皇というキャラクターが実にいい。
ややもすると「滑稽」なキャラになりかねない人物像をギリギリのユーモアで支えている、そのバランスと言うか匙加減をうまくコントロールしているように感じた。
手を叩いて喜ぶような映画ではないが、日本人ならば一度は観てほしい映画かもしれない。