真っ黒こげ太郎

サラマンダーの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

サラマンダー(2002年製作の映画)
3.5
人間とかいて”おかず”と読む。

―――ごちそうさま。



…こっちは色々と食い足りんがな!!!w



ロンドンの地下工事現場で突如、かつて大昔に生命を滅ぼした凶暴な巨大ドラゴン「サラマンダー」が出現!!!
飢えたサラマンダー達は凄まじい勢いで繁殖し、その凶暴さで世界中を炎で焼き、生物を食い荒らした。
人類は核兵器で対抗するが、結局地球の多くを焼き尽くしただけに終わり、世界は荒廃した。

そして時は流れ、僅かに生き残った人々がサラマンダーの脅威に怯えながら要塞に隠れて暮らす近未来。
作物不足で人々は飢えていたが、餌不足でサラマンダーも飢えていた。

ある日、とある砦でコミュニティを率いるクインの元に、謎の武装軍団がやってくる。
略奪者かと思われた武装軍団の正体はサラマンダー達を次々と狩っていたアメリカの義勇軍だった。
彼らは残り一頭になったサラマンダーのオスを倒す為にイギリスの地にやってきたのだ。
オスのサラマンダーを葬れば奴らの全滅に繋がる。
色々あってクインと義勇軍のリーダーのヴァンザンは協力し、サラマンダーを討伐しに向かうのだった。





世界を食い尽くす凶悪なドラゴンと人類の戦いを描いた、近未来モンスター・パニック・アクション。
何ともB級臭い映画ではあるが、知名度の高い俳優が揃ってるし、予算も掛かってる、当時劇場公開される等、ちゃんとした大作として制作されている。

巨大ドラゴンと大バトルしてる実写版「モンスターハンター」が見てぇ!!!
って事で(どういう訳!?)、実写版「モンハン」の情報を見て思い出した映画を見直し鑑賞。


実は本作、最初にレンタルした時はかなりガッカリした記憶がある。
「現代にドラゴンが蘇る!」と聞いて、てっきりローランド・エメリッヒさんの大作映画の様な「ドラゴンVS近代兵器!」が見れるかと勝手に思っていた。
しかし蓋を開けてみれば近代兵器とドラゴンの戦いは冒頭のナレーションで見せる事なく処理され、ヒャッハーな悪党の居ない「マッドマックス」みたいな世界観に。
途中で出てきた戦車は砲撃せず、ヘリにはそもそも武装が積んでない。
(爆薬入りのボウガンやマシンガンをぶっ放したりはしてたが…。)
これで世紀末ファンタジーなアレコレを味わえるなら良いのだが、お話のトーンは妙にシリアスだし、アクション演出も平凡で展開も地味。
ドラゴンのCGはかなりの高クオリティだが、そもそも出番自体が少ないし、その分人間同士のアレコレがメインになってる。

まぁドラゴンのCGを中々出せないのは予算の都合で仕方ないとは思う、だが正直、大都会で大暴れするモンスターとそれらに対して近代兵器で戦う姿が見たかった…。
マイケル・ベイさんやローランド・エメリッヒさんなら絶対に描いてるのに…。


そんなこんなで初見時はかなりガックリして、「まだ戦闘機との絡みがある某便乗B級の方が面白いやん…」と思っていたのですが、改めて落ち着いて鑑賞して見ると案外悪くない。
以前見た時よりはまだそれなりに見れた。

まぁそれでも、クライマックスの戦いが盛り上がりに欠けるのは事実だし、脚本もかなり突っ込み所満載。
「ラスボス倒せば他のモンスターも死ぬ」という無茶な設定は兎も角、「最後の舞台で他のモンスターが襲ってこない」「核兵器で倒せなかったモンスターが爆薬入りの矢で死ぬ」等、全体的に見るとかなりガバガバな設定の嵐。w


それでも人間ドラマ方面は凝ってるからか退屈はせんかったし(そこまで面白くもなかったがw)、見どころもそれなりにあった。

今作は「怪物から逃げる主人公」と「怪物に立ち向かう軍人」の対立が描かれておりこの2人のドラマは案外悪くない。
対立してた2人が過酷な戦いの中で次々と仲間を失い、最終的には共闘して最後の戦いに挑む様は悪くない。
(主人公の言い分も分かるし、軍人側の言い分も分かる感じ。)
アクションも地味だけど、ドラゴンの大暴れや火を吐く描写はよく出来てるし、空中から落下しながらドラゴンに網を被せるという豪快な戦い方も面白かった。



…でもやっぱごめん、対立のドラマやフリーフォールアクションより怪物による破壊描写や近代兵器のドンパチが見たかったわ。(爆)
恐らく監督は世紀末な世界を舞台に得体のしれない怪物の恐怖を描きたかったのだろうが、そのこだわりが裏目に出てしまったんだと思う。
何度も言うが、今作をマイケル・ベイさんやローランド・エメリッヒさんが手掛けてたら、近代兵器や軍人がハードにドラゴンと戦う大スペクタクルを破壊描写満載で描けてたと思うんだ。


…何か思ったより楽しめたと言いつつも、予想以上に乏してしまったな。
一応フォローしておくと、中盤のドラゴンとの戦略バトルとクライマックスの戦いはそれなりに楽しめました。
この手のモンスターパニック物としてはそれなりに予算掛かってるし、テンポもかなり良いので、この手のモンスターパニック物が好きなら普通に見れると思います。


…わざわざ借りてレビューしておいて言うのもどうかと思うが、実写版「モンハン」もこんな感じじゃないだろうな!?
まぁ、あっちの監督はアクション志望だし、トニー・ジャーさん出てるし、過去作もゾンビとプレデターとステイサムさんだから大丈夫だろう…。
(まだ言うかそれ)