船が山を越える、夢のような話を実現した狂気的な執念に震える。
映像つまらんなーと思ってみていたのも束の間、自然が映されると一気に引き込まれた。畏怖すべき脅威の自然が剥き出しのまま目の前に映し出され、中盤以降はなんとも恐ろしい映像を体験できた。特に終盤の急流降りは船の山越えに次いでこの作品を象徴する映像で、あのシーンを見た後だと原住民や現地の人々の信仰にも納得する。
大きな野望を叶えるために不可能に挑戦した男の物語といえばとても興味深いのだが、ところどころほとんど物語性皆無の記録映像が続く場面があり、作品を貫く物語という点に関して少し消化不良を感じてしまった。