ゴン吉

銭形平次捕物控 人肌蜘蛛のゴン吉のレビュー・感想・評価

銭形平次捕物控 人肌蜘蛛(1956年製作の映画)
3.9
江戸の岡っ引き「銭形平次」の活躍を描いた時代劇。
大映版「銭形平次」シリーズの10作目で、シリーズ初のカラー作品。 
長谷川一夫が主演、近藤美恵子がヒロインを演じ、山本富士子、中村玉緒、市川雷蔵、東野英治郎、沢村宗之助、堺駿二らが共演。  

江戸神田明神下の岡っ引きの親分・平次(長谷川一夫)が、子分の八五郎(堺駿二)の助けを借りて悪を暴く捕物控。
豪雨の中、島流しの刑で服役中の男二人が島抜けし、そのうち一人は泳いで江戸に辿り着く。翌日、川べりで背中にクモの入墨をした医師の土左衛門がみつかる。そんな折、江戸にやって来た若い焼物職人の新次郎(市川雷蔵)が、商家で奉公しているというお絹(近藤美恵子)と出会う。町は祭りでにぎわっていて旅籠に空きが無かったため、新次郎は仕方なくお絹を旅籠の荷物部屋に預ける。翌朝、彼女を迎えに行くが彼女の姿はなく、旅籠の人たちは新次郎もお絹も知らないと言う。果たしてお絹はどこに消えたのか?   

岡っ引きの銭形平次が危機に陥ると銭を投げてピンチをくりぬけるのが作品お決まりのハイライト。
本作ではまだ銭を投げるシーンは演出の工夫もなくあっさりしており、知らないと投げたのが銭であることすら分からないほど。
作風は昨今の捕物アクションというよりは事件推理的なドラマが繰り広げられる。
市川雷蔵が若い職人役で、中村玉緒が町娘を演じており、時代を感じさせる。のちに人気長寿テレビ時代劇で水戸黄門を演じる東野英治郎が悪徳商人を演じているのも興味深い。
平次の子分の八五郎がコミカルに描かれており、ストーリーにアクセントをつけている。
「はち そう がつがつすんねえ 飯は逃げやしねえや」 

2023.10 BS12で鑑賞 
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