人は、意識の強いものに注意を向けやすいというが、その点、デルフィーヌは緑への意識が強い。
いや、緑というより、「緑の光線」に対して、無意識な執着が最初からあったのではないかと思う。
よって、デルフィーヌの持つ生きづらさからの羨望が、「緑色の光線」から、もっと広く「緑色」へ関心を移ろわせていたのではないだろうか。
たとえば、落ちていたトランプや、自然豊かな旅行先、食へのこだわりなど、何故かいつも緑色が周りにあると彼女が感じることが、彼女自身の望みを映し出している。
やがて駅で彼と出会い、漁港に赴き、ラストは緑の光線を目にするが、その直前、彼女は感涙してしまう。
自分の心(執着)に気付けた瞬間ではないだろうか。