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緑の光線の346のレビュー・感想・評価

緑の光線(1986年製作の映画)
2.9
うーん。
やっぱり好みじゃない。
最初は退屈で、途中からあれ?面白いかもと思ったけど、うーん。

物語ってなんだろうかと。思う。
映画という枠で考えるなら、映画だよ。でも、これは物語じゃない。

わざわざ、時間を割いてこの映画を観るなら、この女みたいに。あてもなくでかければいい。孤独を感じると思う。それで、おしまい。

いや淡々とした映画はあっていいし、そこまで嫌いなわけではない。でも葛藤を、孤独を、的確な台詞でグサリと打ちぬいてくれたら面白いのに。
いや違うな。終始、この映画はあの女の独り言で出来てるから苦手なんだ。
非日常がないんだ。

例えばリンクレイターの恋人たちの距離とかも何にも物語なんてないけど、あの映画は好き。それは台詞に明確に感情のやりとりがあるし、行動を起こす動機になる目的もある。なぜなら、そこに相手がいるからだ。誤解が次の言葉を生み、理解が次の感情を生むわけで、そうやって、物語が転がっていく様がみえるから。
この映画にはそれがない。

もちろん、こういう映画が好きな人がいるのもわかる。それは否定しない。作為的な台詞ではなく、特別な展開もなく、等身大の言葉で、身近な葛藤を主人公が語ることで、共感ができることもあるだろう。

でも、完全な個人的見解として、映画で日常を描くなんておこがましいと思う。それこそ作為の塊だ。

それに、日常を切り取るならドキュメンタリーには絶対にかなわないと思う。もちろん、何を撮るかでたぶんに作為が生まれるし、そこにカメラがある以上、本当の日常なんて切り取れはしないんだけど。それでも、フィクションより長けてると思う。

やっぱり、自分が映画に求めるのは非日常なんだよ観るという行為を含めて。
なぜか?と考えてみたら、それが嘘であるからこそ、自分の物語に置き換えることができるから。
自分のものにできるからだと思う。
そういう映画のほうが優しい。
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