大道幸之丞

モナリザの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

モナリザ(1986年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

名作「クライング・ゲーム」のニール・ジョーダン監督作品。

親分の罪を被って7年ぶりに出所してきたジョージ(ボブ・ホスキンス)は裏稼業に生きる下品で野蛮な男。妻と子は愛想をつかして相手にしてくれない。なんとか親分からもらった仕事は高級娼婦シモーヌ(キャシー・タイソン)の送り迎え。しかし毎度届けるパーティー会場では何が行われているかは知ることも許されていない。

面倒を見てくれている親友のトーマス(ロビー・コルトレーン)は手先が器用さを活かしスパゲッティのサンプルやマリア像などを樹脂で作ってたくましく販売しているが、目まぐるしい内容のため、彼の家に来る時だけ見ているこちらもホッとする。

冒頭から神経を逆なでされるようなジョージの下品さが、後半になると頼もしくなるから不思議だ。ただしジョージがシモーヌに寄せる想いが果たして義侠心なのか同情なのか、愛なのかがわからず観ている側は混乱する。そのために彼が突如豹変するように見える。

ラストはジョージがシモーヌの罪を被って服役するのかとも思ったが、そうはしなかった。それにホッとはする。

それほどの巨悪が背後にあるわけでもないし、視点をどこに置いたらいいのか観ている側は混乱するかもしれない。ストーリーはもっと整理したほうがいいと感じた。

ただし濃厚で印象的な愛のサスペンスドラマ。見ようとしてたどり着けるタイプの作品ではないので、気になったらぜひ観て欲しい。