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熱愛者の一のレビュー・感想・評価

熱愛者(1961年製作の映画)
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優れた恋愛(についての)映画であり、ヒロイン・芥川比呂志の最高峰である。比呂志さいこう。「愛し合って、結婚して、それでも不安定」(桑野みゆき)な比呂志&茉莉子の決定的な表情や言動をすかさず捉え、“人が人を愛することのどうしようもなさ”(by石井隆)を厳しく突く、演技・演出・原作/シナリオどれも素晴らしい。二人の世界=ボロいが広い比呂志邸の中を動き回るカメラにも目を見張る。そこへ侵入してきて的確に余計なこと言う岡田の姉・乙羽信子の使いどころ抜群。そして家庭を投げ出して千乃赫子との恋愛を選び生きる山村聰、嫉妬心をたぎらした挙げ句に比呂志に投げ飛ばされる月岡夢路だって恋に生きる人である。彼らの顔を見よ。みんな本気なのである。エンディングまで完璧。
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