アントワーン・フークア監督とデンゼル・ワシントンのタッグの第1作目で、デンゼル・ワシントンがアカデミー主演男優賞を獲得した作品。
“良い人”を演じて来たデンゼルが悪人を演じるという事で話題になった本作、刑事ながら恐喝、窃盗、殺人と悪の限りを尽くす人物で、風格はあるものの心底憎めない。それはデンゼルの眼が善人にしか見えないから。デンゼルの個性と言える瞳は演技では隠せない。
善人の代表格であるロビン・ウィリアムズは、晩年に悪役を好んで演じる様になり、それは見事な悪役であったが、デンゼル・ワシントンの場合は、良い人が風貌に顕れているため難しい様に思える。
デンゼルとは逆に、いつもクセのある役をするイーサン・ホークの新人刑事は、見ていてとても新鮮な印象だった。
2001年公開当時に見てから久々の再鑑賞、内容は殆ど忘れていたが、当時はそれ程面白く感じなかった。今見返すと上質なサスペンスとスリリングなアクションの傑作であり非常に面白く、当時自分は何を思って見ていたのかと疑う。
デンゼル演じるアロンソの立ち姿や黒のシボレー・モンテカルロがカッコ良く、本作のアイコンになっている様に思えた。