TOMJFK

ACACIA-アカシア-のTOMJFKのレビュー・感想・評価

ACACIA-アカシア-(2008年製作の映画)
3.3
いい映画だが物足りない

辻仁成監督の映画は『ほとけ』(2001年)もそうだが、テンポがゆっくりだ。
現代映画を見慣れた自分には、退屈になってしまう。
また、ストーリー展開が物足りない。
アントニオ猪木や石田えりが、人生の深みを知る、初老の役で登場し、また老人団地の老人たちのシワだらけの表情にも味わいはあった。
さらに北村一輝の腹話術。これは深い味わいがあり、絶品!
それにロケ地函館の町のさびれた情景が、よく似合っていた。
薄暗い路面電車の中からのショットも、外界の町の風景が味わい深くて、良かった。 またBGMやラストの持田香織のテーマ曲も良かった。
だから本作は、映像、音楽、役者の演技はたいへん良かったと思う。
それだけに残念なのは、ストーリー展開の物足りなさと、のんびりしたテンポだ。
さびれた町、老いた人たちや子供・・・これらに共通する、ノスタルジック映画の傑作である『ニュー・シネマ・パラダイス』と比較すると、ストーリーの物足りなさがよくわかる。
ラスト、猪木と石田が抱き合うシーン。
その後、画面が真っ暗になり、エンドタイトル。
あっさりし過ぎで、盛り上げ方が足りない。
音楽も。 映画のラストシーンなんですよ! もっと演出に力を入れれば、ずっと名作になったと思う。
2010/6/26
TOMJFK

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