明石です

スペースインベーダーの明石ですのレビュー・感想・評価

スペースインベーダー(1986年製作の映画)
3.7
トビー・フーパーが『ポルターガイスト』を監督した後、ハリウッドメジャーを離れ、趣味性を重視した大掛かりな製作スタイルで知られるイスラエル発の映画会社キャノンフィルムズに移籍して撮った『スペースバンパイア』に続くSF大作。脚本でタッグを組んだのは、前作に引き続きダン・オバノン。特殊撮影はのちに『人体自然発火』でも組むことになるジョン・ダイクストラ(スターウォーズのSFXを作った人ですね)。

ひとことで言えばトビーフーパー版『未知との遭遇』で、何の変哲もない平凡な田舎町にUFOみたいな何かかが飛来し、地元の人間が取り込まれ、彼らがおかしくなってしまい云々という物語の展開は、ほとんど未知との遭遇。そして、誰が人間で誰が宇宙人か見分けるのが物語の鍵になるという設定は『物体X』をリメイクしたカーペンターのアレを思い起こさせたりと、やはり往年の名作SF映画と比べてしまう。辛口レビューをしてよければ、それらの名作の足元にも及ばないと思う、、でも私的にはとても愛らしい映画とも思う。

全編通して子供が活躍しすぎて(彼の意見で軍隊が動いたりとか笑)これは子供の妄想の世界か?と突っ込みたくなるのだけど、ラストではまさかまさかの〇〇だったという、、短編映画風の、シッカリつつも、何だそれは!と思わずにはいられないラスト。本作についてはフーパー監督自身も「子供向けの作品」と強調してるみたいですね。彼自身が子供の頃に見たオリジナル作品の記憶を辿りながら製作したとのことですし。

しかし奇形すぎる侵略者の造形や、名俳優に生きた蛙を呑み込ませたりするシーンなど、エゲつない描写はさすがはトビーフーパー!なこだわり。全年齢対象の中できっちり恐ろしい映画に仕上げようという意気込みは感じるし、撮影監督には『悪魔のいけにえ』と同じくテキサスの旧友を起用したとのことで、(怖くはないけど)ホラー方向への前のめりな勢いが伝わってくる。スピルバーグのSF映画と見間違えるような大掛かりなSFXや、シンセサイザーとオーケストラを混合させた壮大な音楽の陰に隠れがちな気もするけどね。何度も観ようとは思わないけど、それでも一度観たら忘れられない、色んな意味で愛すべき映画なのです。
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