ナツミオ

早春物語のナツミオのレビュー・感想・評価

早春物語(1985年製作の映画)
3.5
WOWOW録画鑑賞
【知っておきたい角川映画】
かつて日本映画界に巻き起こった旋風を展望。

”私、過去のある女になったのよ!"
〜沖野瞳

初鑑賞。主題歌は聞き覚えあり。
バブル時代の作品ながらバブリィ感は薄め。人気女優が少女から大人へと移ろう瞬間を切り取った作品。

“角川三人娘"のひとり、原田知世の主演映画第4作。それまで清純なイメージだった原田が少女と大人の間にいるヒロインを繊細に演じた青春映画。
監督は名手、澤井信一郎。

・角川三人娘
 薬師丸ひろ子、渡辺典子、原田知世

受賞歴
・第59回キネマ旬報ベスト・テン9位、読者選出日本映画ベスト・テン10位
・第9回日本アカデミー賞最優秀監督賞(澤井信一郎)
・第7回ヨコハマ映画祭主演女優賞(原田知世)
・第26回日本映画監督協会新人賞(澤井信一郎)

1985年日本作品
監督 澤井信一郎
原作 赤川次郎
脚本 那須真知子
音楽 久石譲 石川光
楽曲 原田知世 『早春物語』
撮影 仙元誠三
出演 原田知世 林隆三 田中邦衛 由紀さおり 仙道敦子 早瀬優香子 平幹二朗

(WOWOW番組内容より)
鎌倉北高校の写真部に所属する17才の少女・瞳(原田)。母親は数年前に亡くなり、父親の修三(田中)は別の女性(由紀)と再婚する予定だった。
瞳はカメラを手に地元・鎌倉を歩くうち、梶川(林)という中年男性と出会うが、自分が大学生だと嘘をつく。
東京で梶川と再会した瞳は、すっかり彼に夢中になる。そんな瞳だが、母親の命日に偶然アルバムを見ると、亡き母親と梶川らしい男性が一緒に写った写真を見つけて驚く。20年前、梶川と瞳の母親は交際していて……。

17歳の少女が春休みに体験した恋、同級生との交流を通じて成長するさまを描く。

原作・赤川次郎は原田知世の主演映画を念頭において本作を執筆したそう。

主人公・瞳が父親ほどの年上男性・梶川真二(林)と知り合い惹かれていくが、実は亡き母の元恋人だった…
恋人同士だった二人だが、梶川の海外赴任が決まり、母と破局したと思っていた瞳だが、ある真相にたどり着く…

原田知世は撮影当時17才。
役柄と同じく高校生だった彼女だが、梶川と出会った時に20才女子大生と偽り、背伸びしながらも大人への階段を登っていく。
ワインで酔っ払って梶川に絡んだり、
ホテルに入るシーンは痛々しくもあり、
同級生の葬儀での喪服姿は、同級生たちより大人の女性に見える。

梶川の海外赴任で別れを告げにくるシーンで、梶川が父・修三(田中邦衛)に昔の写真を見せるところでの修三の表情は名演‼️
親目線で観ると、娘にこんな男が…と怒りを覚えるはず⁈
気持ちを抑える修三は立派⁇

成田空港の場面での瞳の表情のカットが頻繁に入れ替わるのは、彼女の心の内面を表してる様…

単なるアイドル映画に終わらない、一人の少女の成長を見届けた作品でした‼️




【忘備録】ネタバレあり
キャスト(Wikipediaより)
・沖野瞳
演 - 原田知世
17歳。高校では写真部に所属しており冒頭で鎌倉の春を写真に撮るためいくつかの場所を巡る途中で梶川と知り合う。率直な性格で普段誰かとの会話でも、やや突っかかるような話し方をしている。恋愛に関しては、キスもまだしたことがない。修三の敬子との再婚話には一応賛成しているが、本心ではまだ納得しきれておらず彼女に素っ気ない態度を取っている。初めて会った梶川には、“20歳になったばかりの大学2年生”と自己紹介し大人っぽく振る舞い始め、次第に彼に惹かれていく。

・梶川真二
演 - 林隆三
42歳で未婚の独身男性。日比谷にある商社「にっこう物産」のニューヨーク支店駐在員として働いてきたが、アメリカでの鉄鋼販売の事業でミスをして日本に呼び戻された。鎌倉のとある寺社で瞳と出会い、その帰りに東京への近道を教えてもらい一緒に食事をしたことから親しくなる。渋い大人の雰囲気を漂わせており、クラブのホステスらしき2人の女性からも言い寄られている。

・沖野修三
演 - 田中邦衛
瞳の父。父子家庭で瞳と2人暮らし。妻に先立たれ現在は独身で、再婚を前提に敬子と交際している。さかえとは見合い結婚だが自身にとっては一目惚れ。春休み期間中に約1週間長野に出張する。

・沖野さかえ
瞳の母。故人。4年前に亡くなっており作中で3月31日の命日を迎えている。若い頃に東京の看護学校に通っていて、作中の喫茶店でバイトをしていた。大学生時代の梶川と付き合っていたが破局した過去がある。

・大宅敬子(おおや)
演 - 由紀さおり
修三の恋人で瞳にとって継母となる予定。瞳からはやや距離を置かれていて、「大宅さん」と呼ばれている。修三の出張で家を空ける間、瞳を心配する彼に頼まれて沖野家で寝起きする。自身に対して反発気味な瞳に、さらっと大人の対応をする。

・牧麻子(あさこ)
演 - 仙道敦子
瞳の親友。17歳。1ヶ月前からふみおという青学の3年生の彼氏と付き合い始めたばかり。子供から大人へ成長していく年頃で、瞳とは性や恋愛について一歩踏み込んだ会話をしている。梶川に惹かれ始めた瞳に遊ばれないように忠告する。

・沢田真佐子
演 - 早瀬優香子
瞳と同じ高校に通う生徒。妻子ある教師の横谷と付き合っている。教師との不倫発覚でゴタゴタしていることもあり、作中では登場シーンでは感情的な言動をしている。横谷との不倫が学校にバレて、数日後瞳に自身の気持ちを語る。

・松浦純子
演 - 宮下順子
看護師。さかえの看護学校時代の友達。瞳が持ってきた若い頃のさかえと梶川の写真を見ながら、2人が出会って恋に落ちその後破局した当時のことを彼女に伝える。

・小野
演 - 津村鷹志
梶川の同僚で親友。職場では梶川と同じ派閥に所属していて気心の知れた関係。冒頭で支持していた常務が自宅療養することになり梶川に今後の会社員生活について不安を漏らす。

・武藤
演 - 戸浦六宏
にっこう物産の部長。梶川の上司。部下である梶川たち数人でスナックに飲みに行くが、酔った彼に絡まれる。

・会社員
演 - 伊藤克信
にっこう物産の会社員。梶川の後輩社員。社屋ビル前でたまたま会った瞳に「にっこう物産はどこですか?」と尋ねられる。

・こいずみ
演 - 大林丈史
梶川の仕事関係の友人。立食パーティーで梶川に連れられて来た瞳と知り合う。

・竹中常務
演 - 平幹二朗
にっこう物産の常務。梶川の上司で派閥の長。ガンにかかっており鎌倉で療養している。

・竹中夫人
演 - 岩崎加根子
夫の見舞いに自宅に訪れた梶川と小野を見送りの挨拶をする。

・喫茶店マスター
演 - 小林稔侍
神田の「ランタン」で働く。ある時瞳と梶川が店で待ち合わせする。さかえがバイトしていたのは、自身の父がマスターをしていた頃で自身は彼女と面識はない。

・水江
演 - 一色采子
クラブのホステス。客の梶川とは男女の関係があるらしき人。

・石原貴子
演 - 秋川リサ
梶川の知人女性。立食パーティーに梶川と一緒に来た瞳に嫉妬する。

・ナンパする男
演 - 倉崎青児
1人で飲食店のカウンターに座る真佐子に一緒に飲もうと声をかける。

その他
有川博、大場順、井上博一、加藤和夫、有栖川淑子、寺杣昌紀、海一生ほか
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