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犯罪王リコのbluebeanのレビュー・感想・評価

犯罪王リコ(1930年製作の映画)
3.5
ギャング映画の初期の名作です。リコ役のエドワード・G・ロビンソンは不気味で悪そうな良い顔をしていますが、身長が低く小太りで、どこか根本に小物感が漂っている絶妙なバランスが印象的です。圧倒的に格好良いギャングの姿を描く、という映画ではなかったです。ギャングは犯罪の証拠を残さないことで逮捕を逃れているという構造で、基本的に警察の方が強い存在だというのも儚さを感じさせます。

主人公が善の心が全くない完全な悪人で、最後まで改心しないというのが当時新しかったようです。とは言え、ダークナイトのジョーカーなどとは違い、心の奥に人間臭い面を残していて、それが原因となって破滅していくというのが憎めないところです。

硬派なギャング映画だと思って見始めたのですが、意外にも相棒のジョーに片想いしつつも彼を女に取られて嫉妬するという恋愛ものでもありました。リコのあの風貌でその展開なので、気持ち悪いような可愛いような、不思議な印象の映画でした。
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