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犯罪王リコのTSのレビュー・感想・評価

犯罪王リコ(1930年製作の映画)
3.6
【ニューヨークで這い上がるギャング】77点
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監督:マーヴィン・ルロイ
製作国:アメリカ
ジャンル:犯罪
収録時間:80分
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初期トーキー時代のギャング映画。あの『ゴッドファーザー』も参考にしたとされている作品で、長々とやらずに80分程でひとりのギャングの栄枯盛衰を描いています。これも、世界恐慌の時期に作成されているため、アメリカンドリームの実現と衰退を如実に表している作品と思えました。

下町出身のリコは相棒のジョーは恵まれない生活の中でワルを行なっていた。ただ、ジョーはダンサーになりたいという夢がありリコとは別れる。リコはやがてニューヨークの暗黒街で名を馳せる存在となるのだが。。

日本ではヤクザですが、アメリカではマフィアです。仰々しい帽子とコートを被り、事あれば銃を向けるのがマフィア、という印象を持ちますが今作のマフィア達はまさしくそのイメージ通りでした。リコを演じるエドワード・G・ロビンソンは、当時のアメリカフィルムノワールには欠かせない存在だったようで、そのふてぶてしい人相がまたマッチングした模様。ただ、彼の笑顔も中々優しいものであり、今作は邪悪なマフィアになり損ねたひとりの男を強調した作品にも見えました。それは、リコが唯一銃の引き金を引くのをためらうシーンからわかります。彼もメチャクチャな行動をしていましたが根は優しいのです。その優しさが仇となり、彼は窮地に追い込まれてしまいます。

画質も粗く、ギャング映画にしては過激表現はかなり抑えめであるため、現代の目線から見ると物足りないかもしれませんが、アメリカフィルムノワールを知るには欠かせない作品の一つであるでしょう。
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