湯っ子

卒業の湯っ子のレビュー・感想・評価

卒業(1967年製作の映画)
4.2
あまりにも有名なこの作品は、10代の頃にテレビで観たきり。私の記憶には、乳首につけた飾りをぐるぐる回す踊り子さんと、ラストシーンのふたりの微妙な表情しか残ってなかった。
だけど、今回初めてちゃんと観たら、めちゃくちゃ面白かった!名作と呼ばれるのにも納得。
そして、濱口映画に花嫁強奪シーンが頻出するのにも納得だし、本当に私の勝手な考えだけど、「永遠に君を愛す」は濱口版「卒業」なのかもなんて思った。“not the end”は、幼い私の脳裏にも焼き付いたあのふたりの表情によって語られている。

“sound of silence”はもうちょっと出し惜しみしても良いかと思ったけど、何度聞いても耳に優しいメロディ。“sound ofsilence”から始まって、“Mrs.Robinson”に移り、無音からまた“sound ofsilence”に戻る。

ベンがエレインを追って借りたバークレーのアパート。大家に学生さん?と聞かれ、「旅の途中」と答える。何気ないセリフにも意味があるっぽい。

エレインに付き合ってた人がいたの?結婚してる人?子供は?と問いただされ、「息子がひとり」と答える。エレインにバレたくない嘘でもあるし、ベンにとってミセス・ロビンソンは(自分を飲み込む存在としての)母親でもあるのでは。

ベンの行動はストーカーぽいし破茶滅茶。でも、あんな風に人生を自分の手に入れようともがいていて、愛だかなんだかわからないけどエネルギーをぶつけてくれる男に惹かれる気持ちはわかる。親に与えられた人生を卒業したふたり。これはゴールじゃなくてスタートなんだよね、きっと。



aaaakikoさん、再鑑賞のきっかけをありがとうございます!
湯っ子

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