観た。
なんて事の無い東京の風景や、そこに普通に暮らす人々を、こんなにも美しく情緒的に表現できる映画ってやっぱり凄い。
小林達比古カメラマンの画。構図も色も、全カットがドラマティック、反対車線から長玉で切り取られる、長塚圭三の哀愁たるや、常連しかいない喫茶店の店内、お洒落とはいえない東京の街の点描が全て絵画のようにも見える。
台詞も感情が抑えられた、静かでリアルな町の人達の会話なんだけど、尊い。発声の仕方とか、芝居ではないみたい。
この映像と台詞を楽しむだけで満足な映画。物語は、とても大人。自分の精神年齢がまだまだ低くて恥ずかしくなる。
役者達も皆素晴らしい。桃井香織の「ねぇ、お茶漬けでも食べていかない」は痺れた。
これはいつかスクリーンで観たいな。
佐藤信介、脚本。今やキングダムシリーズの監督。あまりにもテイストが違いすぎてバグる。
市川準、監督