湯っ子

東京夜曲の湯っ子のレビュー・感想・評価

東京夜曲(1997年製作の映画)
4.2
お茶漬け食べてかない?means “I love you.”
だって、月がとっても青いんだもの。

市井の人々の日常を描き、小津オマージュと言われているこの作品。
小津映画は紀子三部作を観たくらいなんだけど、その三部作に横たわるキーワードは「不在」なのだと私は思っている。この「東京夜曲」で描かれているのもまさにその「不在」であると感じた。
さんかくが知恵の輪みたいに重なり合う関係の中にいて、生きている時には影が薄いと思われていた男の不在。

「俺が死んでも、どうなるってことないんだって言ったんだ、あいつ。気の毒なくらい現実味があってさ。ほんとは逆で。あいつは、死んでから、いろんなことをやってくれたな。余計なことをな」

胸の奥が、酸っぱいものを食べた時の口みたいにきゅうーとなる映画だった。自分の生活歴にはない世界観なのに、泣きたくなるくらいなつかしい。

とても好きな映画になりました。さりさりさん、ご紹介ありがとうございます☆
湯っ子

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